Frozen

『アナと雪の女王』を観たよ。

cf. 「アナと雪の女王」などディズニー映画、iTunes Storeでの販売を見合わせ
cf. 「アナと雪の女王」iTunes Storeでの販売再開。見合わせ発表からわずか1日
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雑記

なんか分からんが、すごく良かった

  1. 既存の「男女の愛」への挑戦。ここで言う愛は家族愛とも少し違って(家族という側面はほぼ表現されない)、女性と女性の友情や、ともすれば同性愛に近い絆を描きたかったのだろう。姉妹愛の話らしいが、「エルサとアナが姉妹である」ことや「姉妹が王女である」ことはプロット上の装置として必要だっただけで、本質には関係なさそうだ。設定次第でエルサとアナが幼馴染とかでもテーマ自体は成立すると思われる。
  2. 同時進行で、露骨なまでに「強い女性」を描こうとしている。
  • この作品が意図的に提示しているのは以上の2点のみであり、それ以外に語るべきことはほぼない。テーマのみを分かりやすくする仕掛けとして、それ以外の要素を徹底的に排除している。テーマに特化していると書いた方が適切か。
  • 登場する男性諸君は全て装置としての役割しか持っていない。そりゃあそうだ。ヒロイン=ヒーローなので、王子様=7人の小人(≠ヒーロー)である。悪役らしき人物も若干名居るが、それすら小人の1人である。
  • さらに厳密に言えば登場人物としてのラスボスは存在しない。エルサが内面に持つ氷の魔力を制御することが最終課題であり、この魔力を持つが故の恐怖や不利益が、既存の作品で言うところの「魔王」とか「怪物」の役割を持っている。
  • この辺りの仕掛けを受け入れられない人にとってはこの作品は全く魅力的ではないのであろう(cf. 【生放送】夏野剛×黒瀬陽平×東浩紀「男たちが語る『アナと雪の女王』――なぜクリストフは業者扱いなのか」)。

映像の魅力とか

  • クライマックス以上に、個人的に一番刺さったシーンはエルサが自分を解き放ち、孤高の新天地で氷の城を造りながら見せる笑顔。影のある女性の笑顔+誰にも見せたことのない表情の魅力は、カテゴリとしては綾波レイの笑顔に近い。序盤は兎に角、活発で社交的なアナが可愛いのだけど、このシーンで一気に姉のエルサがそれを凌駕する。絶妙過ぎる表情は言葉では表せない。
  • CGによる人間の造型が不思議。かなりデフォルメされたキャラクターたちは全然リアルじゃあないのに、実に表情豊かで感情移入せずにはいられない。リアリティなんか追求しても意味はないのだと改めて感じた。従ってリアリティの魅力で成立する作品とは対局に位置すると言える(ex. FINAL FANTASY VII ADVENT CHILDREN)。
  • 刺々しい氷柱や、これまた相当ベタな氷の結晶のモチーフなど、ある程度までシンボリックな描写をしつつ、唯一、最後の吹雪の描写だけめちゃくちゃリアルだった。この辺のメリハリはさすがディズニーと言わざるを得ない。気付いたら世界観に引き込まれている映像美は見事の一言に尽きる。