ヨハネス・ブラームス

某ヴァイオリニストに最大限の敬意を表したい。


彼が初めて弓を持ってからまだ半年も経っていない。
その彼が合宿3日目の夜、立派にアンサンブルのトップを弾いてみせた。


もちろん、まだまだ改善の余地ある演奏ではあった。
それは弦楽器の知識が皆無である俺にも明らかだ。
しかし彼の成長は、まさに「努力」の賜物であったとしか言いようがない。


「才能」なんていう言葉で一括りにするのは軽卒だし、無礼ですらある。
舞台の上には、ひたすら努力して見えない何かを積み重ねてきた彼がいた。
(練習量で言えば既に学年トップクラスだろう。)


あの曲を彼はサマコン前から練習していた事実。
パートに6人いる1年生のうち初心者は彼だけであるという事実。
彼の初舞台を聴き、感動とともに焦燥感すら抱いている俺がいた。
わき上がる拍手の中で俺が痛いほど手を叩いていたのは言うまでもない。


初めて真鍮管を手にした頃の俺は、彼ほどの根性を見せていただろうか。


俺なんかすぐに追い越されてしまいそうだ。
いや、彼はこれから何人の経験者を追い抜いてくれるだろうか。


もちろん俺も負けるつもりはない。
2年後が楽しみだ。