優柔

「人はその生涯で何人の人に出会うのだろう。その生き方に影響を与える人というのであるなら、その数は少ないに違いない。」

荒木先生がジョジョ6部の中で、あるキャラクターに言わせた台詞。人はそれぞれ、与えられた時間に限度がある。自分が大嫌いな言い方になるが、いわゆる「運命」というやつだ。いつか自分たちは必ず死ぬわけで、その行く末が決定されているとするならば、生きている時間はもはや消費するだけの存在で増えることは無いという考え方だ。

これは、期間を短くして考えてみても同じなんだと思う。例えば、大学生活。ちゃんと4年間で卒業する、つまり「普通の」学生は当然4年間という限られた時間の中で出会える人の数が限られている。サークルやらゼミやらの先輩、後半、同期かもしれないし、授業を担当する教授かもしれないし、他大の同学年の学生かも知れない。

兎に角、どんなに頑張っても数量的あるいは物理的な限度があり、それはある程度以上どうしても「時間」に比例するというのが現実である。

自分は、情けない話ではあるが、5年目に突入してしまっている。逆に言えば5年目を与えてもらえるだけの環境があった。だらだらと今までみたいにこの1年間を過ごして良いものか。答えはもちろんノーである。

最近はこのことをいつも考えている。5年目になってしまったことは恐らく人生においてマイナスの側面ばかりだが、しかしその所為で敢えて出会うことが出来た人や、5年目になって初めて知り得たこと、考え方、価値観も多い。そういった逢瀬は「普通の」学生には得られないものであるはすだ。

具体的には、ゼミの3年生とか、サークルの1年生とか。またはゼミやサークルの4年生たち(こいつらは去年は3年生で、就活を始めていなかった人が多い。いまは就活や公務員試験や教員採用試験を経験し、成長している。)から、本当に刺激を受けるし、時に焦燥感や劣等感さえ感じる。しかしそれは、ほぼ必ず、人生においてプラスの側面に昇華できるだけのモチベーションを与えてくれる。

人生最後の学生時代、その期限は真近に迫っている。