「ジョブスだったら、」

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新しいiPhone、新しいMac、新しいApple製品が発表される度に、インターネットのあちこちで、世界中のあちこちで、人々は憤り、怒り、不満を口にする。彼らは必ずこう言うのだ。

「ジョブスだったら、」

今日もインターネットの彼方此方で、様々な場所、文化、言語を超えて、たくさんのジョブスたちが憤る。スティーヴ・ジョブス、彼はもはや人々に語られるパブリック・ドメインであり、ユーザたちに宿る共通の意思である。その意思は、本来スタンド・アローンであるはずの人々の思考を並列化させ、取り込み、さらに巨大な意思の集合体として成長する。パブリック・ドメインがシェアを拡大することで、意思は増大し、集合知はより強大なものとなってゆく。

「ジョブスだったら。」

その言葉を介し、インターネットが(そして皮肉にも大多数がアクセスするときに使うデバイスはiPhoneなのだ)、スタンド・アローンたちを並列化させる。スティーヴ・ジョブスとは、もはやスタンド・アローン・コンプレックスに付いた名前なのだ。*1

*1:アニメ「攻殻機動隊 S.A.C 2nd GIG」における『個別の11人編』を参照されたい。