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人に迷惑をかけましょう

最近のサークルの後輩たちを見ていて思うことがある。みんな、若いパワーに溢れているし良い素質を持っているのだが、いまいち殻を破れていない。いわゆる「一皮剥けて」いないヤツが多いように思う。

一言でいうと、迷惑をかけなくなった。

「人に迷惑をかけるな」という言葉がある。半分は正解である。オーケストラは組織であり、コミュニティである。コミュニティには「個」の介入を許さない規律が存在する。日本人は、こういう規律のことを「人」と呼ぶことにしている。この「人」に迷惑をかけられると、コミュニティは成り立たなくなってしまう。合奏のセッティングに遅刻するな、連絡をしっかりしろ、音程を合わせろ。然もないと「人」に迷惑がかかるから…というわけだ。
「察し」と「思いやり」を信条とする日本人は、殊の外この目に見えない「人」という概念に対するアンテナが敏感である。集団行動を得意とする我々は、つまり、この都合の良い「人」を設定することが得意なのである。

さて、半分正解だと言ったが、もう半分は誤解である。最近の後輩たちは、自分たち先輩にも迷惑をかけなくなった。サークルの先輩たちは上述のような「人」ではない。顔の見える「個」である。ぶっちゃけて言うと、俺たちは後輩に迷惑をかけられることを心待ちにしているのだ。

卒レセで、同期の友人たちに「みんな4年間で変わった。殻を破ってくれた。」というような話をした。彼らも入学当初は様子見だったのだが、すぐに頭角を現してきて、各々のバックグラウンドを活かした能力を発揮してくれた。ひーちゃんの言葉を借りると、まさに「適材適所」だったように思う。
自分たちの学年は(おそらく自分を筆頭に)なかなか迷惑な集団だった。先輩を練習に付き合わせて、やれ楽譜の読み方を教えてください、やれ製本の仕方を教えてください、やれスコアを貸してくださいだの言いまくっていた。

執行代が始まってからも、各係長、パートリーダー、セクションリーダー、みんなが皆お互いに迷惑をかけまくって、そのおかげでみんな成長したように思う。学代様から「人に迷惑をかけるな」なんてダサい台詞は一度も聴かなかった。殻を破って最高の力を発揮した、素晴らしい学年だったと自負している。

敢えて後輩たちに言いたいのは、もっと人に迷惑をかけて欲しい。この人というのは、君たちが「個」として繋がりを持つ先輩、トレーナーの先生、プロの指揮者のことである。図太くなれ。しゃしゃり出て周りの人より一歩得をしろ。もちろん規律を守る範囲内で、である。そうして得たものが、みんなの殻を破るきっかけになってくれれば望外の喜びです。

自分も卒団生、いわゆるOBとなってしまった。
3つ上の永井先輩の代から、3つ下の秀吉の代まで、だいたい1学年20人弱の団員がいたように思うので、だいたい現役時代には140人くらいの人々と知り合うことができた。

人脈は財産である。少々言い方が汚いかもしれないが、サークル活動が生涯に与える影響で最も社会的価値があるのは人脈である。もちろん精神的にも、今後ここで知り合った仲間たちには支えてもらうだろうと思う。いつまでも迷惑をかけ合える関係であることを期待している。