帰りにベートーヴェンのピアノソナタを聴いていました。
これがなかなか久しぶりでした。ここ数年、iPodと言えば管弦楽ばかり聴いていたからね。
ピアノの曲を集めたプレイリストがあるんですが、久しぶりにシャッフル再生していたら
- ベートーヴェンの月光3楽章
- ショパンの幻想即興曲
という順で流れたんですよね。偶然。それで昔のことを思い出しました。
異常に似てる部分があるんです。この2曲。そのことに高校1年生だかなんだかの頃に気がつきました。
それで実は本当に似ているのには理由があって、当然ながらショパンはベートーヴェンの影響を特に強く受けていて、幻想即興曲は月光3楽章のオマージュの様な位置付けが出来るのだそうな。*1 *2
ってことを知ったんです。
その頃は既にピアノ歴も10年を軽く越えていたし、吹奏楽歴(管楽器歴)もそれなりの長さになっていたのですが、やはり自分にとって楽曲というのはそれぞれバラバラの独立した存在でした。
あらゆる楽曲が生まれた背景や経緯なんて知ろうとはしなかったし、興味がなかった。それらの繋がりなんてものも当然考えたことなんてありませんでした。
目の前の楽譜は、本当に「楽譜」でしかなかったのです。
しかし、初めて自ら月光と幻想即興曲の類似性に気付き、そのことの本当の意味を知り、そうか音楽ってのは自分と同じ人間が作ったものだから、その裏にはいろいろな事実があって、影響しているんだなあということに気付いたわけです。
そして高校1年生の自分は思いました。面白い!と。
思えばこの2曲が全ての始まりでした。
やたら音楽に対するいろいろな蘊蓄を語ったり、その背景を調べてムフフとなったりしているのは、これがきっかけなんだよね。
例えば去年はベートーヴェン。
例えば今年はブラームス。
巨匠たちが如何に人生を歩み、それはどんな時代のどんな国で、どんな歴史の文脈の中に位置していたのか。
彼らの人生のどういった局面において作曲され、どの様な思いが込められて作曲されたのか、ということを知るというのは意味があるし、演奏家として興味を注がずにはいられなくなってしまいました。
マニアックになれということではないが、このことを少しでも聴衆に伝えられる演奏が出来ればな、と思うわけです。